『シン・ウルトラマン』は竜頭蛇尾

庵野監督が現場の撮影にはあまり関わっていないという話を耳にして、なんとなく嫌な予感はしていたのだが、実際そのとおりに駄目なところが目立つ作品だった。先に擁護しておくと、序盤はめちゃくちゃ面白い。序盤の怪獣プロレスだけでも見に行く価値はある。ただ、ストーリー的にどうだったかと問われると、そこは微妙だった。原作のウルトラマンのストーリーを最初から最後まで網羅しているため、いろいろと詰め込みすぎだった。何年か前にアメコミ映画関係の人が「日本の原作付き映画は詰め込み過ぎで、取捨選択ができていない」と言っていたのを見たことがあるが、まさにこの映画に当てはまる言葉だ。要素を詰め込んだなかでストーリーを成立させようとしたがために、後半から明確にテンポが落ちていった。テーマ的にもウルトラマンが地球人を好きになった経緯がよくわからないのはどうかと思う。そのため、なぜウルトラマンが命を捨ててまで地球を守ろうとしたのかわからない。原作はTVシリーズだから、地球で暮らしているうちに愛着が湧いてきたのだろうと想像できるが、この映画だと地球来訪から光の星へ帰るまでの期間が短すぎるため、そういった想像ができない。総じて微妙な映画だった。四字熟語で言えば竜頭蛇尾。円谷プロはしっかり制作陣に張り手をしておいてくれ。

一方、『シン・仮面ライダー』はがっつり庵野監督が撮影しているそうなので、期待しています。