影響力の脅威と防衛法

『影響力の武器』より。人間が無自覚に影響を受けてしまう要素と、それらへの防衛法を簡単にまとめてみた。

影響力の要素

  • 理由を添えられると頼まれごとを承諾しがちになる。
  • 高価なものを良質なものと思いこんでしまう。
  • 同質の商品で、まず低レベルなものを見せられると、次に見せられる普通レベルものが実態よりも良く見える。
  • 返報性のルール。「他人がこちらに何らかの恩恵を施した場合、自分は似たような形で何かお返しをしなければと思ってしまう」。
    • このルールは、ギブとテイクの差が等価でなくても成り立つ。
  • 拒否したら譲歩。最初の要求を拒否したあと、譲歩した要求を受け入れがち。
    • これを悪用するものは、2番めの「譲歩した要求」に本命を潜ませる。
  • ひとたび決定を下したり、ある立場を取ると、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかる。
    • SNS上の発言ですら、一貫性の法則が適用される。
    • 一貫性へのこだわりは、歳を重ねるに連れて強まる。50歳を超えた人たちが最も強い。
  • 社会証明の原理。人はほかの人たちが何を正しいと考えているかを基準にして物事を判断する。ある行動を遂行する人が多いほど、それが正しい行動だと思い込む。
  • 好意を持っている相手からの要求は受け入れがちになる。好意が大きいほど、理不尽な要求にしたがいがちになる。
  • 連合の原理。自分と類似性がある集団や応援している集団に対して、集団の手柄を自分の手柄のように扱う。その一方で、集団が失態を犯すと、とたんに他人面をはじめる。
    • この傾向があまりに強い人たちは、心の深層に、自分は価値が低い人間であるという自己否定イメージがある。
  • 権威性。人は権威者の命令にはとにかくしたがおうとする。権威者とは政府だけでなく、学者のような専門家や、社会的影響力のある有名人といった民間の人々も含まれる。
  • 希少性。ある物が手に入りにくくなると、それを入手する機会がより貴重に、そして物自体が好ましく思えてくる。これは情報にも当てはまる。
    • ある情報に対して検閲を行うと、その情報を好ましく思うようになり、むしろ人々は求めようとする。
  • 原始的な自動性。状況を分析するための時間やエネルギーが足りない場合、「証拠がひとつあれば充分」という原始的なやり方に逆戻りしてしまう。
    • 情報が多ければ多いほど、この罠に陥ってしまう。

防衛法

  • 多くの場合は、「ちょっと待て、それは本当に〇〇か?」と自分に問い直すことで防衛できる。
  • 権威性の法則は、必ずしも専門家を軽視せよということではない。ただし、その人が本当に専門家か確認すること、次に、誠実な専門家であるか確認すること(自身の利益のために結論を誘導していないかどうか)。そして、それをクリアしてもなお、専門家が間違える可能性を考慮すること。
  • 原始的な自動性に陥らないためには、あらかじめ情報や選択肢を絞り込んでおくこと。