『コンサイス版 ビットコインとブロックチェーン』を読んだ。この本は『ビットコインとブロックチェーン』の簡易版で、素人向けにビットコインで用いられている技術を解説したものとなっている。
本書の中で目を引いたのは、最後のほうに書かれていた秘密鍵の管理についての項だ。ビットコイナーなら知ってのとおり、秘密鍵とはあなたのビットコインがあなたの所有物であることを証明する唯一のもので、これをどうやって管理するかがビットコインを運用するうえで一番の悩みどころである。
基本的にビットコイナーは誰も信用せず、自分ひとりだけで秘密鍵を管理する方法をとってるわけだが、著者はその風潮に異を唱える。というのも、ペーパーウォレットを使うにせよ、ハードウェアウォレットを使うにせよ、自分だけで管理していると自分自身が単一障害点になってしまい、秘密鍵を紛失してビットコインを失ってしまうことが起こりうるからだ。また、秘密鍵を紛失しなかった場合でも、事故や病気で突然死してしまったことで、所有しているビットコインを親族へ引き継げないという問題も出てくる。そうして問題への対策として、「ひとつのウォレットに全額をぶち込むのではなく、複数のウォレットに分散させる」、「信頼できる親族や弁護士には秘密鍵を共有しておく」といった方法をとることを推奨している。
僕もこの意見には賛成で、かねてより自分だけで秘密鍵を管理するのはむしろリスクが高いと思っていた。まだ誰とも共有はしていないが、自分の手元にひとつと、秘密の場所に鍵の複製を保管してある。ウォレットもハードウェアとモバイルアプリに分散させている。いずれは相続用の準備もするつもりだ。最近でもNunchukというウォレットアプリが他者との共有機能を実装しており、今後は共有ウォレットを作る流れが加速するだろう。
ちなみに秘密鍵のメモを貸金庫に預けているというビットコイナーもいるようだが、どこかの国で法令により、貸金庫をドリルで開けられて秘密鍵をとられたという事例があるらしい。そもそも貸金庫に預けるというのは(体制側の)銀行や法律を信用するということなので、ビットコインとは相性が悪いのではと思っている。